DSC_0094.JPG蒔絵筆及び毛棒など
DSC_0107.JPG蒔絵筆及び毛棒など
DSC_0111.JPG蒔絵粉及び粉入れ用道具
DSC_0116.JPG研ぎ炭及び砥石

蒔絵道具

蒔絵筆

根朱筆、根朱替筆、文廻筆

蒔絵筆.jpg根朱筆

  • 蒔絵筆;一般絵画用の画筆と異なり粘張である漆液をもって描くので、これに適するように特製されたものです。使用の場所により細さ、長さ、形状が別であり、名称が異なります。
    • 小根朱筆;最も細く肉高の線を描くのに使用します。毛は比較的強わく鼠の背部の毛で作ります。工房晃岳では極細の毛打ち(例えば鳥の羽の模様)に使用します。
    • 脇毛筆;根朱筆より毛は軟らかい。鼠の脇毛で作るため脇毛と呼ばれている。工房晃岳は特に使用頻度が多い筆で、付け書き、線書き、地塗りの縁書き、毛打ちなどオールマイティな筆です。
    • 文廻筆;円形や紋章を描くときに使用する。コンパスの先に蒔絵筆がついたようなものです。
      • 鼠の毛の筆は大変貴重で入手困難です。運良くあっても高価です。

地塗り筆.jpg地塗筆

  • 地塗り筆(丸筆);線書き以外のやや広い面を平に薄く描くときに使用します。塗る面積によって太さの違う地塗筆を使い分けます。

蒔絵用材料

蒔絵粉

金粉.jpg金丸粉
蒔絵粉は多種多様ですので当工房で実際に使っている粉を紹介したいと思います。

  • 金属の種類(金、銀、プラチナ、パラジウムを使う)
  • 形状(丸粉、平目粉、梨地粉を使う)
  • 大きさ(丸粉だと1号〜12号 平目粉1号〜10号 番号が大きいほど一粒が大きい)
  • 蒔絵粉の製造元(東京の浅野商店、金沢の吉井商店の二件のみ) 
  • 現在蒔絵粉は金の高騰で大変高価になっています。
  • 浅野商店のホームページに蒔絵粉のことが詳しく載っています。

DSC_0372.JPG左から夜光貝、白蝶貝、鮑貝で裏に着色あり
貝にも種類、薄さなどの区別があり使い分けをしています。

  • 薄貝;縫い針などの針をもちいれば容易に模様を切り抜くことができます。しかし極薄いだけに注意して扱わないと割れる恐れがあります。
    • 夜光貝(青緑色が大変きれいです。模様に切り抜いて使います)
    • 白蝶貝(白が大変きれいで良質なものだと白の中から虹色に光ります)
    • あわび貝(夜光貝ほどではないがきれいな青が出ます。模様を切り抜いて使います)
    • ニュージーランド鮑(光沢が強くきれいな青がでますが、ふがあり広い面積を使うことができないため、打ち抜き貝としてつかいます)
  • 厚貝;厚さ1mm程度で縦横5cmに加工されたものが市販されています。通常は金工用の糸鋸で模様を切り抜きます。厚みがある分、貝そのものの存在感が出ます。
    • 白蝶貝、黒蝶貝、ニュージーランド鮑、夜光貝など

研ぎ炭

DSC_0368.JPG左手前椿炭、左奥朴炭、右駿河炭

  • 研ぎ炭;研磨専用に焼かれた炭。一口に研ぎ炭と言っても様々で樹木の種類だけで4種ありその用途は異なります。同じ炭から切り出しても場所によって堅さが違い使い分けが必要です。炭の見ため、実際に当ててみた研ぎ音や手に返ってくる感触で判断します。良質な炭は小気味よい音で深く傷を付けずに速く研げます。
    • 駿河炭;漆面及び金粉の研ぎに使用しています。用途によって形状を砥石で整えます。金粉面は棒炭(棒状に切り出して先を尖らせたもの)で研ぎます。

朴炭

DSC_0367.JPG棒炭

  • 朴炭;朴の木を研ぎ炭専用に焼いたものです。駿河炭より堅く木目が締まっています。主に棒炭にして金粉面の荒研ぎをします。

沢口悟一著 日本漆工の研究を参考にしました。